初心者のピリオダイゼーション[クライマーのトレーニング計画]

今回は「初心者に向けたピリオダイゼーション」をお伝えしようと思います。

初心者が中級者と言われるまでに、何をすればいいのか。

どうすれば中級者と呼ばれるようになるのか。

説明します。

ちなみに以前、初心者の方に向けた記事も書きました。

この記事は初心者だけでなく、中級者の方も読んでほしい記事となっております。

さて、本題。

初心者がまずやらなければならないことは、クライミングの基礎を徹底的に体に覚えさせることです。

クライミングの基礎とは”無駄な力の放出をなるべく減らす”こと。

無駄な力を減らすには、簡単な課題をどうすればもっと力を抜いて登れるかを考え、無意識に力を抜けるまで登り続けるのです。

さて、今回はクライミング(ボルダリング)を始めて1年未満、または登れる課題のグレードが6級前後の方におすすめのトレーニングと計画(ピリオダイゼーション)を紹介いたします。

初心者が行う基礎トレーニングとは

初心者の頃はグレードをどんどん上げていくことに気を取られがちですが、前述したようにまずは技術やコツを身につけるべきです。

よって、簡単な課題をより簡単に登れるようにどうすればいいか考えながら、できるだけたくさん登ります。

簡単な課題でも良いので量を登りましょう。

基本的なスキルを身につける前にトレーニング期に移行してしまうと「力登り」の癖がついてしまい、後の矯正が難しくなります。

さらに、腱、靭帯、関節が筋肉の成長に追いつかず、怪我の恐れもあります。

(特に指、手首)

しかし、初心者の時期はどんどん課題が登れる楽しさを知ることだったり、登れるグレードが急激に上がるため、フォームの修正やムーブの習得をおろそかにしがち。

「登れないのはパワーが足りないから」という思い込みも多く見受けられます。

「難しい課題にチャレンジするな」とは言いません。

言いませんが、”より楽に登れる技術”が身につく前に無理やり登ってしまうような「力登り」で解決するようになると、手数の多い課題が対処できなくなったり、神経系のトレーニングも難しくなってしまいます。

初心者が思い込みやすい「筋肉を鍛えれば上手くなる」という考えは間違いで、筋肉があっても使えてなければ意味がないのです。

もともと筋肉がない人は技術が先に身につくので、同じグレードを登っている筋肉質な人よりも”クライミングがうまくなる”傾向にあります。

初心者は技術を身に着けてから力をつけるトレーニング方法がおすすめです。

よって、初心者が最優先するべきは「クライミングの動きを身につける」こと。

クライミングの動き(楽な体勢やムーブ)が身についたら中級者の仲間入りです。

初心者のピリオダイゼーション

「ピリオダイゼーション」とは、

1年、半年、1ヶ月、という長期的なトレーニング期間で同じトレーニングを繰り返すのではなく、トレーンング期間全体をいくつかの時期に分けます。

その長期的な期間の中でトレーニングを変化させ、それらを全体として作用させることによって、オーバートレーニングや飽きを防止し、目標をより効率的で確実に達成するための方法です。

一般的には「基礎トレーニング期」→「トレーニング期」→「調整期」→「休養期」となり、数カ月から1年でこのサイクルを繰り返します。

初心者はこの中の基礎トレーニング期を多く設けることにより、基本的なスキルをより身につけていきます。

初心者の方はこの基礎トレーニングの時間を長めにとりましょう。

と、いうことはクライミング関連の書籍に書いてあります。

しかし、初心者が半年や1年後の目標を設定するのは難しいですよね。

初心者の方は、1週間や2週間という期間でプランニングします。それを続けることで上達します

クライミングを始めて間もない方から半年未満の方は、週単位でプランニングします。

中級者、上級者となると筋肉やスキルの伸び率が緩やかになるため、数カ月〜1年のプランニングが良いとされています。

初心者の1日(デイプランニング)

初心者の1日は「ウォーミングアップ」からはじめ、「基礎トレーニング」→「限界トレーニング」→「クールダウン」→「ストレッチ」という順番で行います。

①ウォーミングアップ

ウォーミングアップはできるだけ入念に行ってください。最も軽い負荷からはじめ20分以上をかけ、徐々に温めほぐします。

体が温まっていないまま登り始めると、怪我や故障に繋がります。

ウォーミングアップは登りながら行う必要はなく、「走る」「跳ぶ」でも体が温まればOKです。

②基礎トレーニング

できるのであれば、殆どの時間をここに使いましょう。

5級、6級が登れる方は7級や8級を、より簡単に登れるように意識しながら登ります。

大切なのは、ひとつの課題にしぼらず、いろいろな課題をたくさん登ってください。

より多くの動きを覚えるために量をこなすのです。

③限界トレーニング

基礎トレーニングが終わったら限界に近い課題も登りましょう。

パワーをつけたいのなら、限界トレーニングはトレーニングの序盤にするべきです。

疲労が溜まっている中で登っても最大パワーが出せず、筋肉は増えにくいので。

しかし、前述したように、初心者は基礎トレーニングを主に行いスキルを上げることに重点を置くのでこのトレーニングは後になります。

限界トレーニングのトレーニング時間は全体の3割以下で。

④クールダウン

クールダウンの目的は

  • 身体疲労回復
  • 精神疲労回復
  • 筋肉をほぐす

など、体のコンディション調整をするためのものです。

ウォーミングの逆をたどることで、少しずつトレーニングの強度を落とします。

翌日の疲労感は、クールダウンにかかっています。

⑤ストレッチ

ストレッチは登る前よりも後に行ったほうが理にかなっています。

なぜなら、体が温まっていなく筋肉が固まっていると、ストレッチの効果が発揮されないからです。

もし登る前にストレッチをするならば動的ストレッチ。

体が十分に温まっていたら、静的ストレッチを行います。

クールダウン直後でも、家に帰り風呂上がり後でも構いません。

以上が初心者クライマー1日の理想的なトレーニング内容になります。

ここで注意しなければならないことは、基礎トレーニングは単調になりがち、ということ。

クライミングにおいて、この基礎トレーニングを続けることは決して楽しいものではありません。

なぜなら、クライミングが楽しい!と感じる時の多くは”できないことができるようになった時”だからです。

しかし、長い目で見れば基礎という土台がしっかりとしていたほうが、より多くの”楽しい!”を感じることができるはず。

初心者の1週間

週2回以下で登る方は、先程の「デイプランニング」をそのまま行います。

ウォーミングアップ終了後、基礎トレーニングをみっちり。

限界トレーニングもしっかり疲労が分かるまで行います。

登ったらその後1〜2日間はレストにあてます。

連続で登る場合は前日を基礎トレーニングのみとし、限界トレーニングは行わないほうが良いでしょう。

レスト日はストレッチを継続。

ムーブや動き方を本や動画で覚え、イメージトレーニングがおすすめです。

週に3回以上登れる方は、極力連続で登るのはやめてください。

連続で登れば、疲労が回復する前にまた疲労を溜めることになってしまいます。

疲労が溜まっているまま基礎トレーニングをしても、正しいフォームは身につきませんし、怪我や故障を誘発させます。

こちらも連続で登る場合、前日は基礎トレーニングの軽い負荷のみとしておきましょう。

逆に、(翌日に疲労の残らない)軽い負荷であれば毎日でも構いません。

ただし、初心者の方は特に、軽い負荷だと思って登っていたら思っていた以上に疲労しているなど、自分の疲労感を把握しづらく曖昧なため、おすすめはしません。

レストとガッツリ登る日のメリハリはつけたほうが良いです。

ストレッチは毎日行ったほうが良いです。

トレーニングと同時に食事や睡眠についても考えてくださいね。

初心者の方は週に2回以上継続して登ることができて、基礎トレーニングをみっちり行えば3ヶ月〜半年後には、目に見えて動き方が変わります。

ある程度うまく動けるようになったら、少しずつ強度の高いトレーニングを増やしていきます。

クライミング動作チェック

  • 最適なホールディングを見つけられるか
  • 腕は常時曲がっていないか
  • 骨盤は立っているか
  • 脇は締まっているか
  • ホールドの上で足の向きは変えることができるか
  • シューズのアウトサイド、インサイドはうまく使えているか
  • 土踏まずを使っていないか
  • 足の踏みかえはスムーズか
  • かき込みから立ち込むまでスムーズか
  • 安定した姿勢を維持できるか
  • 体をねじって(ダイアゴナルで)登れるか
  • 壁に正面を向けて(正対で)登れるか
  • ダイアゴナルと正対の使い分けができるか
  • ゆっくり動く場面と勢いをつける場面はうまく使い分けできるか
  • 筋肉の緊張と弛緩をうまく使えているか
  • スメアを使えているか
  • ヒールフック、トゥフック、キョンはできるか
  • ある程度オブザベーション通りに登れているか

これらが全部できたら完全に中級者。

ぼくが考える特に大事な項目は

  • 脇は締まっているか
  • ホールドの上で足の向きは変えられるか
  • ダイアゴナルと正対の使い分けができるか
  • ゆっくり動く場面と勢いをつける場面の使い分けができるか
  • 筋肉の緊張と弛緩をうまく使えているか

です。

より力を温存して登るには欠かせない項目となります。


参考文献

ピリオダイゼーションの科学と実践: 簡潔なレビュー

クライマーズ・バイブル㊤㊦ フロンティア・スピリッツ

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